【パンのクラム】ベーカリーの長時間労働
2015.12.15
ベーカリーの長時間労働
日本人は働きすぎ、とよく言われるが、主要国では最も長い。リテイルベーカリーの働きすぎもよく知られている。
日本人の一般労働者の年間労働時間は、2020時間というデータがあるが、おそらくベーカリーの労働時間はこれを超える。
日本の労働基準法は、週40時間を超えて働かせてはいけないことになっているが、雇う側と働く側の間で約束を交わせば、40時間を超えても制限されない。
日本では長く働くことが美徳とされていて、長時間働くことへの評価も高い。そして生活のために残業する人も少なくない。
あるオーナーシェフが「自分が修業時代は、当たり前のように働き詰めだったが、今はそれを押し付ければ辞めてしまう。何とか1日10時間にしたいと思っている」という。
最近、ノロウイルスや異物混入事件が後を絶たず、ベーカリーも俎上に乗るケースが多くなった。
労務環境の面でも、ベーカリーに査察が入ったという話は珍しくない。内部告発あるいはネットでの情報拡散によって、取り返しのつかないダメージを受けることもある。雇う側の意識も変わってきたし、また変わらざるを得ない時代になった。(Y)
※本コラムは2015年12月15日号にて掲載されたものです。